【宮城県・亘理町】多機能型福祉施設「ともにはま道」開所
2016.04.01トピックス
亘理事業所は2012年3月に、豊かな地域資源と女性たちの力を活かして地域を復興しようと、亘理町の地域資源活用事業を利用してスタートしました。
「おっかあの力プロジェクト」を立ち上げ、直売所(産直と移動販売)、厨房(おっかあの弁当、総菜)、農園を展開。農産物の生産者の会をつくり、75人が登録、直売所や厨房に野菜や加工品を提供してもらいました。 14年後半から、地域の課題になっている障がいのある人たちの就労支援に取り組んでいます。
今年1月30日に新店舗に移転し、2月1日に就労移行支援と就労継続支援B型事業所の指定を受けました。
現在、亘理事業所は障がいがある人の就労支援を軸に食堂、弁当や総菜の提供、直売所と移動販売を行っています。食堂は火、木、土の11時半~14時に日替わりランチを提供。 11人の組合員と6人の利用者が働いています。利用者は陶器のペンダントや小物を作ったり、食堂の接客や配膳、販売なども。利用定員は、就労移行支援が6名、B型が14名です。
■ボランティアの懇親会やお弁当に
訓練・作業室での開所式は席が足りなくなるほど、再スタートを祝う人が集まりました。
田中羊子ワーカーズコープ東北復興本部長は、「障がいのある人が地域の存在になれるように取り組んでいきたい」とあいさつ。
亘理町福祉課長・阿部清茂さんは「就労に意欲を持つ障がいのある方々が利用される場合は、生活面でも支援をお願いしたい」。宮城県山元支援学校進路指導部の吉田典子さんは「生徒、保護者ともに生まれ育った町で就労を希望する声は多いが、卒業すると町外に出て就職するのが現状だ。ともにはま道の開所は生徒や保護者だけでなく、学校や地域にとっても頼もしい」と喜びを述べました。
加工品の生産者でテイルサイド社代表の横尾裕子さんが「経営努力をしてきたことを、町民はしっかり見て応援をしてきた。お願いが2つ。食堂が町民の憩いの場になるように、笑顔で迎えて。2つめは、これまで以上に強力なビジネス仲間として付き合って」と要望。
所長の池田道明さんが、「昨年8月に所長になり、自立のための経営改善と就労支援の制度活用への準備をしてきた」と今日までの道のりを紹介し、「ようやく仲間と再スタートを切れた。明るく元気にみんなにとって心地よい場をつくり上げて、1日1日成長していきたい」と力を込めました。
スタッフが決意を披露し、出席した3人の利用者もあいさつしました。 食堂での交流会では、野菜カレー、ミルフィーユカツ、とん汁などの食事が振る舞われました。「味わって、ぜひいろんな人に紹介して」と厨房の責任者の齋藤美和さん。
また、参加者から次々とお祝いの言葉が贈られました。 池田所長の母校、東北工業大学の先生が「亘理事業所とのコラボ商品を開発している。10月か11月に銀座で発表したい」と。
相談支援センターの方からは、「紹介した利用者が通っている。今日は立派にあいさつしていてうれしい」。
生産者の方は、「はま道の力を借りて、商売を伸ばしていきたい」。 津波で被災した防潮林の再生に取り組む団体の方は、「全国から集まるボランティアのお弁当や懇親会にはま道を利用。地元のものを食べたいという声に応えてくれて、感謝している」。
交流会がお開きになると、産直で野菜や特産品のいちご、トマトケチャップなどの加工品を購入したり、施設を見て回る参加者の姿がありました。
宮城県の障がい者雇用率は2年連続で全国最下位。亘理町でも就労支援の福祉施設が少ないのが現状です。
障がい者福祉に関わる人たちからは「ともにはま道」に、障がい者雇用の促進や支援学校の進路問題解決の一助になると、大きな期待が寄せられています。
「ハラハラしながら、開所をずっと待っていた。紹介したい人がたくさんいる」「ここに通うのは、駅からバスかな、送迎はあるの」などの声もありました。