担い手不足の自治会を協同労働で ワーカーズコープ中志津設立へ(千葉・佐倉)
2018.01.18トピックス
自治会の担い手不足を協同労働で解決しようと、ワーカーズコープ東関東事業本部と千葉県佐倉市中志津の地域住民による協同労働組織「ワーカーズコープ中志津連絡会(以下、連絡会)」は、「ワーカーズコープ中志津」を立ち上げました。
12月17日に行った開所式には、市議、自治会長、商店会長、住民ら60人が集まり、門出を祝いました。
■住民同士、地域の実情学び合う
中志津自治会は2800世帯、9000人で構成する佐倉市最大の自治会です。しかし高齢化による担い手不足などに悩み、活動への負担感から自治会を抜ける世帯も出ていました。
こうした状況を、「ワーカーズコープと手を組めば、なんとかできるかもしれない」、そう考えた中志津在住で、以前ワーカーズコープが運営する施設で働いていたこともある鵜飼英昭さんが、両者を引き合わせました。
自治会とワーカーズコープは懇談を重ね、まずは地域の実情を住民同士で学び合おうと、2015年11月から全9回の市民講座「クローズアップ現代(自治会編)」を開始。そこから、「困ったと言うだけでなく、住民が力を出し合わなければこの状況は解決できない」と考えた住民有志が「ワーカーズコープ中志津準備会」を結成。17年2月からは、全4回の「しごとおこしセミナー」を開きました。
参加者同士が「地域にあったらいいな」と思うこと、「自分はこれができる」ことを出し合うと、居場所や相談できる場、活躍の場がほしいという要望や、運転、子どもの見守り、人の話を聞く、料理、買い物、パソコン、絵画、ものづくりなど、自分にできることが100以上も出され、「できることを地域のために」「まちづくりを、協同労働ならできるかもしれない」と、準備会は連絡会となり、具体的な仕事おこしへと進みました。
■居場所 暮らしのサポート 農園などから
ワーカーズコープ中志津では、20人の地域住民が、①居場所(カフェ)、②暮らしのサポート、③協同農園の3つのグループをつくり、中志津中央商店街の空き店舗を拠点に活動を始めています。
居場所グループは、「中志津カフェ」をオープン。週1回、2時間ですが、毎回約20人の利用があり、今後、開催日を増やしていく予定です。
暮らしのサポートグループは、パソコン教室と健康麻雀を始め、健康麻雀には60人が登録。さらに、子どもの預かりや小学生が立ち寄れるミニ図書館づくりなどを構想中。子育て支援を柱に据えています。若い世代の地域活動への参加促進に向け、自治会も協力を約束しています。
協同農園グループは、8月から90坪の畑で先行して活動を始め、早速地域の餅つき大会に大根を数十本提供しました。自治会イベントとも連動した作物の販路開拓と、初めて体験する繁忙期、春夏の収穫を楽しみにしています。
ワーカーズコープは、連絡会と連携しながら、介護職員初任者研修や、まちづくりの担い手養成講座を行います。
途中、思いの強さ故に活動から離れていく人もいましたが、ワーカーズコープ田中羊子代表理事は、「地域のために何かできないか、それが将来の自分たちの支えになるという思いがみんなにある。お金も力も出し合い、話し合って、協同労働で仕事を起こそうと呼びかけると、受け止めてくれた。紆余曲折もあったが、本音の話し合いがあり、働くこととボランティアが掛け合わさった、社会連帯ワーカーズのようなものができようとしている」と話しています。
自治会、町内会活動が全国的に行き詰まりを見せる中で、モデルとなり得る活動が始まりました。