一緒に作って一緒に食べる 子ども食堂各地で  -旭川 立川で

2015.12.28お知らせ

「家族がそろって食べる機会がない」 反響大きくカンパやボランティアの申し出も


ワーカーズコープ旭川地域福祉事業所は、11月14日に「こども食堂」を北星公民館で開き、子どもたち10人、大学生を含むボランティア15人が参加。全員で調理し、温かいご飯をお腹いっぱい食べました。今後は月に1回開き、3月開催予定の「旭川市におけるこども食堂・学習支援に関するシンポジウム(仮)」につなげ、支援の輪を広げていきます。(北地区児童センター館長 青塚美幸)

■調理の失敗も笑顔で振り返り

17時から開店準備。ハンバーグ、ポテトサラダ、キャベツと塩昆布の和え物、ニンジンご飯などの調理に挑戦しました。野菜を包丁で切ったり、ハンバーグをこねたり。でき上がった夕食を一緒
に食べ、料理のできや調理での失敗を振り返り笑顔があふれました。費用は1食300円で、子どもは手伝うと無料。
子どもたちからは、「友達と一緒に食事ができて楽しい」「次はいつ?」などの声が。ボランティアからは、「大人が楽しめた」「子どもたちの笑顔がすべて」「のれんを見た時に今日の成功を確信した」など。中には、「家族がそろって食べる機会はなかなかない」と打ち明ける子も。
「旭川でも、一人親世帯で保護者が仕事に追われ、3度の食事もままならない子どもが多い。『欠食』『孤食』『偏食』など、子どもたちの『食』の問題に共感してくれる人たちの輪を一緒に広げていきましょう!」と、一緒に企画した旭川大学短期大学部清水冬樹准教授。


■長期休みでやせ細っていく子も
旭川市児童センター全6館を4月から、ワーカーズコープ指定管理者グループ(北海道労協と)が運営。
旭川市直営時代から、さまざまな子どもの「困難」に直面してきましたが、特に「食」の問題は深刻です。「食事は給食だけ」「仕事でお母さんの帰りが遅く、家に帰っても食事がない」「親が布団で横になっている時間が多く、食事を作ってもらえない」など。学校の長期休みにどんどんやせ細っていく子どもの姿も目にし、職員が市には内緒でおにぎりやスープを渡していたこともありました。  市の担当者に報告しても解決には至らず。また、職員が食べ物を渡すことも一時的な取り組みでした。
児童センターの運営がワーカーズコープになり、子どもたちの実情を知った今井一貴所長が「子ども食堂」を提案。旭川短大や市内のNPO、民生委員など多くの方々に呼びかけ開催することに。
子ども食堂の取り組みが新聞やSNSなどで広がったことで大きな反響がありました。カンパやボランティアの申し出と共に、会場の北星公民館の館長から、こういう取り組みなら後援し、会場を提供したいという話も。更に地域とのネットワークを築いて、子どもたちの居場所や相談の窓口が増えていくように、活動を続けていきます。

子どもたちから「のれんがかわいい」の声も上がった

子どもたちから「のれんがかわいい」の声も上がった



ネットワーク活かし継続的に。相談会では、仕事や暮らしなどの悩みが

一般社団法人日本社会連帯機構東京三多摩地方委員会は、立川市社会福祉協議会の後援、NPO法人さんきゅうハウスの協力で「三多摩巡回食堂(子ども食堂)・困りごと相談会」を11月22日に立川市の高松学習館で開きました。12月12、13日には府中市で行い、2017年10月まで多摩地域の15市24カ所で開催予定です。(ワーカーズコープ東京三多摩山梨事業本部 川地素睿(もとえ)

■子どもたちも包丁使って
子ども食堂には、ワーカーズコープの児童館や学童保育現場の仲間、ワーカーズ・コレクティブ、さんきゅうハウスの方々、協同集会で関わった人たちの他、「初めてですが」とやってきた人も参加。  メニューはカレーライス。幽学の里米(千葉県)のこしひかりは、さんきゅうハウスが提供。子どもたちも包丁を使い、材料を切っていきます。「お父さんがレストランに勤めているから大丈夫だよ」という子の包丁使いに、「つい口を出したくなる」というベテランの女性も。
スパイスの効いたいい匂いのカレーができ上り、約50人の参加者がお代わりして、たっぷり食べました。

■制度があっても活用できない
午後からは、別室で「困りごと相談会」。ソーシャルワーカーやホームレス支援員、弁護士などの専門家たちが対応します。
「家には帰っていない、仕事をしたい」という中年男性。「90過ぎの妻はグループホームに。妻と一緒に暮らしたい」と、杖をついて来られた介護度4の高齢の方も。
まとめの会議では、路上生活で65歳を迎え、介護保険を受給できない例も出され、「制度があっても活用できない」実情や、心身を整えながらの中間的就労の大切さについても話しが出ました。「生活保護課に行きづらい人も多い。こういう気軽に相談できる場があればいい」の感想も。子ども食堂については、「子どもが少なかった。広報の仕方を考えないと」「でも、楽しそうでよかった。続ければ増えてくる」「子ども食堂ののれんをつくったら」「子ども服などのバザーも一緒に」の意見も出ました。NHKが取材。当日の夕方の首都圏ニュースで放映されました。


子どもたちやスタッフ、ボランティアだけではなく、相談会に来た方も一緒にカレーを味わう

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路上生活者や仕事を求める人などさまざまな人が相談に

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