広島「協同労働」プラットフォーム シンポジウム開催

2015.06.11お知らせ

住民みんなが主役の働き方
課題解決のトップランナーに


 協同労働を通じた働く場の創出と、地域課題の解決を目指した広島市のモデル事業、「協同労働」プラットフォーム事業の開始から1年。成果報告と2年目のキックオフを兼ね、ワーカーズコープ広島北部地域福祉事業所が運営を担う、協同労働プラットフォーム「らぼーろひろしま」は、5月26日に協同労働シンポジウムを広島県民文化センターで開催。自治体関係者や地域の人など、281人が参加し、協同労働の可能性や実践を深めました。

パネルディスカッションでは、協同労働で立ち上げた4団体のうち、2団体が実践報告

パネルディスカッションでは、協同労働で立ち上げた4団体のうち、2団体が実践報告



■「お願いします」から「お疲れさん」協同労働で事業立ち上げた2団体が実感込め報告

 松井一實(かずみ)広島市長の開会あいさつに続き、NHK解説委員の後藤千恵さんが記念講演。
 ワーカーズの滋賀・草津「みんなの家」や東京・池袋西口清掃現場を取材して感じたことを紹介しながら、「働くことの意味が、人とつながり、やりがいや生きがいを感じ、”感謝される喜びの報酬”を得るものへと変化している。『地域の課題は宝の山』と言う人もいる。協同労働はこうした課題を、多様な仕事づくり、働く場づくりのチャンスに変える。誰もがいきいきと働ける多様な仕事を広げ、日本を課題解決のトップランナーに」と、期待を語りました。
 パネル討論では、事業を開始した4団体のうち、2団体が協同労働で立ち上げる意義を報告。
 安芸区社会福祉協議会の石田浩巳さんが、「分野や、支援する側・される側を越えたまちづくりが必要。楽しみながら活動を」とコメントしました。
 高成田健ワーカーズコープ中四国事業本部長が、「広島から、住民自治による仕事おこし、まちづくりを進め、協同労働が、国や自治体の地域活性化施策に位置づくよう頑張りたい」と、まとめました。
 プラットフォーム事業は、今年度は佐伯区が加わり、安佐北区、安佐南区と合わせ計3区がモデル地区に。6月から、佐伯区内7カ所で「まちしごと勉強会」を開催。相談があれば、市内全域で取り組みを支援します。

NHK後藤千恵解説委員が記念講演

NHK後藤千恵解説委員が記念講演



■「和」を追求する協同労働 究極の和ー平和追求の広島市も応援 松井市長あいさつ

 少子高齢化が進み、労働人口が減少する中で、経済成長を前提とした社会システムを変えていかなければならない。
 能力や意欲がある人が、働くことを通して社会参加できる環境をつくることが必要であり、このことが生きがいとなり、まちづくりやコミュニティの再生にもつながる。
 広島市では、まず高齢者の働く場をつくり、コミュニティの再生に役立てようと、協同労働のモデル事業を昨年から開始した。
 人々が力を合わせ、共に働き、成果を分かち合う、「和」を追求する協同労働を、平和という究極の和を追求する広島市も応援していきたい。
 協同労働を広島でしっかり根付かせて、この実践を全国に広げてほしい。

挨拶する松井広島市長

挨拶する松井広島市長



■協同労働方式で立ち上げた2団体の報告
一人で旗を振ってたが ひねもすようこそ 池岡洋子さん
 障がい者支援等を7年間、NPOでやってきた。夢は大きくても先の見通しが立たず、やめてしまおうとも思ったが、目の前の子どもたちや、協力してくれる人を思い、何か新しいことをと模索している時に協同労働と出会った。
 以前は、一人で旗を振って、周囲には「すみません、お願いします」と言っていたのが、協同労働になって、「お疲れさん」という言葉に変わった。
 仲間が役割を持ち、一緒にやっているという空気がそうさせているのでは。
 子どもたちのあずかりも、「お金を払った方が頼みやすい」という声が。料理教室でも、「かかった経費を人数で割ったらええよ」と参加者から提案が。お金を出すことが利用者にとっても必要だし、安心感につながると感じた。利用者と共につくるのが協同労働。
 事業が軌道に乗るかどうかはこれからだが、気合も入る。収益を上げて夢に向かっていきたい。

出資して責任感高まる ケサラ 田山幸子さん
 5人で立ち上げた。高齢化が進む住宅団地の空き家で、多世代交流サロン事業、生活総合支援事業、貸しスペースなどを行っている。 
 健康体操などのボランティア活動をしながら、子育て中のお母さんのように、人の手を借りたい人と、社会に貢献したい元気な高齢者を結び付けられないかと考えていた時に、モデル事業を知り、勉強会に参加した。
 自分たちも出資しているのだからと、責任感が高まり、活発な意見が出るように。
 利用者からは、「一人で家にいても笑えない」「こんな場所をつくってくれてありがとう」という声も。利用料をもらうのが心苦しいが、事業を継続させるためには必要なもの。思いを強くした。

<<前の記事へ 一覧へ 次の記事へ>>